あたし達は、当日まで準備とかそーゆうのはない。
当日料理を運ぶだけ。
何だかつまんないな。
去年はみんなで準備して、みんなで作り上げたって感じだったのに。
「誠は準備とかある?」
誠との帰り道。
そういえば、誠と初めて帰ったのも、去年のちょうど今くらいだったね。
あの頃は遅くまで残って準備して、帰り道はいつも暗かった。
時季は一緒なのに、今、二人で歩いているこの時間は、まだ日も暮れていない。
少しだけ空が、オレンジがかっているだけ。
「俺のクラスパレードでさ。しかも俺の役割って風船の手配だけ」
そう言って誠は苦笑した。
お互い去年とは違って、ほとんど準備がないみたい。
それが寂しくもあり、嬉しくもある。
「じゃあ一緒に帰れるね」
「だな」
誠の顔を見上げて微笑むと、誠も微笑み返してくれた。
それから、あっという間に文化祭当日になった。