夏休み前って……
夏休み前から、結夢の様子が変だったって事?
もしかして、ピロリンの言っていた『気になる事』って、これの事……?
「結夢チャンには関係ないかもしれねーけど、俺には関係ある」
二人のやり取りが、よく分からない。
ピロリンを睨む結夢に、それに怯む事なく言い放つピロリン。
あたしは状況が理解出来なくて、ただ二人の間に挟まれているだけ。
結夢は、小さく笑った。
「男なんてみんな嘘つき。あたしは男なんて信じない。信じたあたしが馬鹿だったのよ」
結夢、何があったの?
鞄を乱暴に掴んで、教室を勢いよく出た結夢の後を、あたしも追った。
「結夢、待って!」
追い付いたのは、結夢が昇降口でローファーに履き替えている時だった。
「結夢……」
だけどあたしは、何て声を掛けてイイか分からなかった。
結夢が話し掛けてくれたのは、校門を出る頃。
「誠置いてきちゃって大丈夫?ごめんね、あたしの所為で」
結夢は申し訳なさそうに笑った。