花火の日って、花火大会の日だよね?



もしかして、あの時の電話は……





「ゆ、結夢、ごめん、あたし……」


何で気付かなかったんだろう。

何でもっとちゃんと、結夢を見ててあげなかったんだろう。

あたしが辛かった時、すぐに気付いてくれたのに。

いつも、見守っててくれたのに。



何で、何であたしは……




「大丈夫だから。別に男なんていなくたって生きていけるしぃ。こんなもんでしょ」


そう言う結夢は、俯いたまま。




ダメだよ。

結夢、また心を閉ざしちゃダメだよ。


「結夢、ごめんね。結夢の辛い時、あたし何も――」

「大丈夫だってばッ!!」


言い終わる前に、結夢は両手を鞄にたたき付けて、あたしの言葉を遮った。


結夢の叫びにも似た声が、人が少なくなった放課後の教室に響いた。




「全然大丈夫そうに見えねーんだけど。夏休み入る前から」



あたしが何も言えないでいると、あたしの後ろから声が聞こえた。



その声は、ピロリン。



「……何なのよ、夏休みからずっと。中條クンには関係ないでしょ」


そう言う結夢の声は震えていた。