「結夢〜、今日タカヤンはぁ?」


今日の授業が全て終わり、自分の席で、鞄に筆箱やら教科書やらを突っ込みながら、あたしと同じ様に鞄に物を詰めている結夢に声を掛けた。


「あぁー……。しばらくは一人」


結夢はあたしに顔を向けず、鞄に物を突っ込みながら答えた。


「あれ、タカヤンずっと遅いの?」


鞄に物を詰め終えたあたしは、結夢の席に向かった。



結夢の前に立つと、遠くからでは分からなかった表情が見えた。



辛そうな顔してる。



たまたま結夢の手元が目に入った時、今までずっと気付かなかった自分が許せなかった。







指輪……してない。





「結夢、指輪は……?」



あたしが呟く様に聞くと、結夢はさも当たり前かの様な顔をして、一言「別れたから、もうつけない」と言った。





え……別れた?


だって、夏休み前は、もーすぐ一年だねって喜んでたのに。


何で……




あたしは信じられない。という顔をあからさまにしていたんだろう。


結夢は苦笑しながら、

「花火の日に別れたんだよ。まぁなるようになったってやつ?」

と言った。