始業式も終わり、休み明けで先生も生徒もやる気のない午前の授業が終わった。



暑い廊下を抜け、いつもの様にあたしと結夢は購買でパンと飲み物を買って、天国のような教室に戻って来た。


つい先程買って来たフルーツ紅茶をゴクゴクと飲んでいると、美姫が教室に入って来た。


でも今日は珍しく一人じゃない。


美姫の後ろには、2年の教室に入る事に緊張しているのか、女の子がビクビクしながら立っていた。



「のぞみサン、この娘あたしの友達の綾」


美姫はそう言って、後ろに隠れる様にして立つ綾と呼ばれた娘の腕を引っ張った。



あ、この娘が綾チャンか。



綾チャンはおっとりとした雰囲気で、背中まである明るいブラウンの髪に、少し垂れた目が可愛かった。



「あ、あの、はじめまして。美姫チャンの友達の綾です。よろしくお願いします」


ペコリと頭を下げた綾チャンは、美姫の友達とは思えない程礼儀正しかった。



あたしと結夢は顔を見合わせ「よろしくね」と綾チャンに笑いかけた。


美姫はそんなあたし達を見て、何だかとても嬉しそうに笑っていた。