叶チャンを揺する手は、大きな手で包まれた。
視線が絡まる。
吐息が掛かりそうな距離。
あたしの手を包んでいた手は、あたしの頬にのばされる。
そして、あたしの唇に、叶チャンの唇が触れた。
あ……
何で………
あの時の、初めてのキスの時とは全然違って。
優しくて。
目をとじると、感じるのは、あたしの頬を包む温かくて大きな手と、香水の匂いと、唇の熱だけ……
あたしの全てが、叶チャンだけを感じた。
唇が離れ、また、視線が絡まる。
その顔は、辛そうで。
でも無理に微笑もうとしていて。
「俺らは、ただの幼なじみだ」
こんなキスしておいて、そんなの
そんなの……
「……うん」
あたしはちゃんと、笑えていたかな?
きっと、無理だったよね。
あたしはもう、叶チャンを幼なじみ以上に想っちゃいけない。
もう一度、鍵をしっかり掛けて、鍵穴も塞いだ。
あたし達は、ただの、幼なじみ……