ど、どーしよう!
あたし泳げないのに!!
砂浜の方を見ると、人が豆粒みたいだった。
その中から誠達は見付けられない。
「ま、誠……」
呟いてみても、声なんか届くはずもなく、波の音にあたしの声は掻き消された。
「誠ぉッ……」
ヤバイ……
どーしよう
どーしようどーしようッ!
「誠ぉッ!」
半ばパニックになりながら、誠の名前を呼ぶ。
――叶チャンッ!
「のんッ!」
後ろから声を掛けられ振り向くと、血相を変えた誠が居た。
「ちょっと目ぇ離したら居なくなってて……俺……ごめんな」
誠はあたしを強く抱きしめた。
「う、ううん、大丈夫だから……ありがと。あたしこそごめんね」
そんな、血相変える程心配してくれたんだね。
ごめん
ごめんね、あたし……
あたしは誠を見上げ、微笑んだ。
叶チャンの名前を心の中で叫んだ罪悪感を、何とか隠そうとして……。