「ピロリン、言っとくけど、結夢は彼氏いるんだからね」
「あんだけ堂々とBVLGARI見せられてんだから、分かってるっての。ちょっと気になる事があるだけ」
ピロリンは珍しく真剣な顔をした。
「気になる事?」
「……何でもねぇ。じゃあよろしくな」
そう言ってピロリンは、またいつものヘラヘラした笑いを浮かべた。
何だろ?
……ま、いっか。
「断られると思うけど、一応聞いてみるよ」
「サンキュー」
決めるのは結夢だしね。
あたしは席を立って、結夢の席に向かった。
「結夢〜、夏休みさぁ、四人で海行かない?」
「四人って?」
結夢は案の定、訝し気な顔をして聞いてきた。
「えっとぉ、あたしと誠と結夢とピロリン」
きっとヤダって言われるんだろうな。
結夢はちょっと難しい顔をして悩んでいる様だ。
やっぱり無理っぽい。
「無理ならイイんだけどさ」
「…………イイよ」
「……えッ?」
結夢は笑顔でこの案に乗ってきた。
今までの結夢だったら有り得ない。
どーしたんだろ。