「結夢ぇ、お返しだよぉ」
そう言ってあたしは少しかがみ、あたしの膝を隠している塩水を、結夢に向かって両手でかけた。
――パシャッ
「のん〜、あたしもお返しぃ」
結夢はあたしと同じ様に、塩水をかけてきた。
――パシャッ
「あははッ。お返しのお返しだからぁ」
「こっちこそッ」
そう言ってあたし達は塩水を掛け合う。
ジリジリと肌を焼く太陽。
青く、どこまでも広がる海と空。
あたし達と同じ様に、はしゃぐ家族やカップルの声。
誠とピロリンは、海の家でかき氷を買いに行ってくれている。
ちなみに、あたしはレモンで結夢はイチゴ。
夏休み5日目。
あたしと結夢と誠とピロリンの四人は、10時頃に駅で集合してから、電車で40分の、この人で賑わう海に来ている。
初めは恥ずかしかったピンクのビキニ姿も、もう慣れてしまった。
と言うか、ここまで来てTシャツを着ている方が何だか浮いていた。
結夢は黒いビキニが凄く似合っている。
相変わらずスタイルがイイなぁ……と見惚れていたら、いきなり水を掛けられたのだ。