「お母さんッ!お父さんッ!」


家に入るなり、あたしは大声で二人を呼んだ。


その勢いのまま、人が居るであろう明かりの漏れるリビングのドアを開けた。



何も話さずリビングに居た二人は、あたしの様子に驚き、あたしを見つめる。



それでもあたしは叫ぶ。



「あたしッ、二人の事好きなの!大好きなの!たった一人しかいない、あたしのお母さんとお父さん。寂しい……離れるなんて寂しいよぅ!」



溢れる涙と一緒に、心に溜め込んでいたモノを吐き出した。



「昔はあんなに仲良かったのにッ。離れたら駄目になるのはッ、寂しいからでしょ!? 愛しいからッ、寂しいんでしょ!? あたしは寂しいって事も愛しいって事も気付かなかった……でも今は気付いたから!! 離れたくないッ……離れたく……ないよぅ」



二人は、あたしの顔とお互いの顔を交互に見ている。





気付いて。



あの頃を、思い出して。




二人は、幸せだったんでしょ?


愛し合っていたんでしょ?


だから、あたしが生まれたんでしょ?