誠ママは、車であたしを家の前まで送ってくれた。




正直、家に入りたくない。



家のリビングから明かりが漏れているのを確認した時、あたしは車を降りられなくなった。




あたしがちゃんとしなきゃ。


ちゃんと気持ち伝えなきゃ、何も解決しないよね。





それでも、躊躇してしまうあたし。


膝の上で震える、強く握った手に、誠ママはそっと手を添えた。



「のぞみチャン、私ね、誠の事を放任していた時でも、必ず誕生日とクリスマスとお正月は、家族皆で過ごすようにって決めてたの。家族が離れ離れにならないように、それだけは毎年必ずしてたのよ。
のぞみチャンの家族にも、そういうのって無かった?とても小さな事で、気付かないような事でも……それは案外、深い意味を持っていたりするのよ」




小さな……事



あたしと家族を繋ぐ







『何でいつもサンドイッチなのよ。意味分かんない』




あ……




あった



どんな時でも、キッチンのテーブルの上には、朝起きるとサンドイッチが乗っかっていた。


たまに、手紙なんかもあったりして……