あぁ……



また、今日もか。







今日も、一階からは怒鳴り声が聞こえる。



こんな事するくらいなら、帰って来なきゃイイのに。









ヤダよ。




やめてよ。




もうやめてよ。




せっかく家族が揃ってるのに、どーしてこんな風になるの。





もう、やめて……







“♪♪♪〜♪♪…”






電話?


布団を被って耳を塞いだ時、枕元にある携帯が、着信を知らせた。


時計を見ると、夜中の2時だった。



電話の相手も見ないで、あたしは通話ボタンを押した。


両親の喧嘩の声から開放されるなら、相手は誰でも良かった。





「……もしもし?」



『……俺』




聞き慣れた声。



この声は、あの人。




「オレオレ詐欺なら間に合ってまーす」




『……切った方がイイ?』


「あぁッ、切らないで!叶チャンどーしたの?」




叶チャンから電話が掛かってきたのなんて、どれくらいぶりだろう。


もしかしたら、これが初めてかもしれない。