“あんた2年の教室の前うろちょろして、何がしたいわけ?”
“人の男取って最低”
美姫は壁際に追いやられ、2年の女子に囲まれていた。
それでも悪びれたり泣いたりしないで、可愛い顔で女子達を睨んでいる。
“先輩達の男なんて知りません。興味もないし。フラれたからって、美姫に当たらないで下さい”
“何こいつッ!!”
美姫を囲んでいた一人が、顔を真っ赤にさせて美姫を殴ろうと手を上げた。
「ちょっと!やめなよ!」
あたしは気が付くと駆け出していた。
美姫と2年女子の間に入ると、上げた手は下げられた。
「あんたには関係ないでしょ。あたしはこいつと話してんの」
「あたしもこの娘に用があるの」
凄んでくる2年女子達は怖かったけど、あたしは負けちゃいけない気がした。
あたしも真希サンに、酷い事をされた。
それでもあたしを守ってくれる人がいたから、あたしは大丈夫だったんだ。
でも今この場に、美姫を守ってくれる人はいない。
美姫の事は正直苦手だけど、それでもあたしは、こうしなきゃいけない気がするんだ。