「あれはぁ……」
「結夢、ピロリンの事知ってたんだ」
ピロリンの言葉を遮り、あたしは疑問を投げ掛けた。
「こんな目立つなりして、毎日女はべらして廊下歩いてたら、嫌でも知っちゃうでしょ」
結夢は溜め息を吐いた。
あたし、知らなかったんだけどな。
あたしってどんだけ周り見えてないんだろ!?
「結夢チャンさぁ、その言い方はないだろぅ。俺は好きではべらしてたわけじゃないし、彼女だって高校入ってから作ってない!」
「いや、そんな胸張って言われても……自慢になってないから」
結夢は苦笑した。
「だから、そんな可哀相な俺に弁当作ってくれよ」
「絶対に嫌」
「ひでぇ。結夢チャンの愛のこもった手作り弁当食いたかったのに」
「中條クン、あたしの左手の薬指にある物が見えないの?」
結夢はそう言って左手を顔の前にかざした。
「お、それBVLGARIじゃん!彼氏奮発したねぇ」
そこかよ!
もっと違うとこツッコめよ!
結夢もピロリンの思わぬ返しに、少々呆気に取られている。