「それでさぁ、自己紹介でいきなり誠を好きだって告白してんの。しかものんの隣のヤンキーも、霧島クンの事好きとか告白してさぁ。笑い堪えるの大変だったんだから」
責任取りなさいよ。と、結夢が誠にニヤけながら言った。
ホームルームが終わって、次の授業までの休み時間。
あたしが誠のクラスに行こうとしたら、結夢はどーしてもこの話がしたかったらしく、ついてきた。
でも誠もあたしの教室に来てくれるつもりだったみたいで、廊下で会ってそのまま三人で話している。
「俺も自己紹介で、好きなモンはのんチャンです!って言えば良かったなぁ」
いや、それだけはやめて下さい。
誠のニヤけた顔を見て、切実に願った。
まだ肌寒い季節。
廊下は少し寒いのに、あたしの顔だけは熱い。
「いやぁ、俺は幸せ者だなぁ」
「ホントにバカップルね」
誠が惚気ると、結夢は溜め息を吐いた。
「てかそろそろ授業始まるから、教室戻ろう」
この状況に何だかいたたまれなくなって、結夢の腕を掴んで引っ張った。
「じゃあね、誠」
あたしは誠に背を向けた。