「そこの女どもうるせーぞ!今は俺の自己紹介中だ!しっかり聞きやがれ!!」
突然、自己紹介中だった中條クンが大声をあげた。
誰もが驚いて、中條クンを見ている。
女子達のヒソヒソ声も無くなって、教室内は静まり返った。
「て事で、俺の好きなモンは霧島叶一です。以上!」
そう言うと、中條クンは腰を下ろした。
――て、え?
好きなモンは霧島叶一?
はぁぁあぁぁあぁ!?
教室内に居る誰もが、あたしと同じように心の中で叫んだに違いない。
だってほら、みんな目が点。
叶チャンですら、珍しくしまらない顔をして中條クンを見てる。
例外無く、あたしも目を点にしながら中條クンを見ていると、目が合った。
中條クンはニッコリと笑った。
この人、わざと言ってくれたのかな。
あたしが嫌な思いしてると思って。
自意識過剰かな?
でも中條クンのお蔭で、ヒソヒソ声の矛先はあたしじゃなくなった。
そして自己紹介はあたしの番になった。
あたしは胸を張って言った。
「て事で、あたしの好きなモンはバカ殿です。以上!」
「ぶッ」
中條クンに、吹き出されてしまった。