「さすが霧島だな。噂にたがわぬイイ男だ」
女子のヒソヒソ声に紛れて、中條クンは叶チャンを見てボソッと言った。
何だ、この人。
もしかしてそっちの趣味の人?
いや、別に恋愛は自由だし、否定はしないけどさ!
“ねぇ、三崎のぞみが居るじゃん”
“うわぁ、ホントだぁ”
叶チャンの簡潔な自己紹介が終わると、女子達のヒソヒソ声の矛先はあたしに向けられた。
さっき中條クンが言ってた事、あながち嘘でもなかったのかな。
あたしは叶チャンの幼なじみだし、叶チャンを狙ってる女の子から見たら、やっぱりあたしは邪魔だもんね。
「中條浩です。1年の時は6組でした」
“ねぇ、三崎サンって遠野クンの彼女でしょ?”
“えぇー、でも霧島クンが彼女出来ると邪魔したりしてたんでしょう?”
“それはぁ……”
女子達の噂話は、益々熱を増している。
――ヤダな。
あたしは自覚がなかったけど、確かに叶チャンの彼女にしたら、あたしは邪魔してたよね。
図星だから、何も言い返せない。
叶チャンに聞かれたくない。
あたしは少しでも目立たないようにと、俯いて身を縮めた。