「そーいえば霧島クン、来てないみたいね」
長ったらしい校長先生の挨拶の後、1年生の歓迎会も終わり、あたし達は新しい教室へ向かう。
今日から叶チャンと同じクラス。
複雑な感情が沸き起こる。
「叶チャン、人の集まるとことか嫌いだから。教室で寝てるかもねぇ」
そう言って自分の教室の前まで行くと、女の子達の嬉しそうな声が聞こえてきた。
“霧島クンと同じクラスになれてマジ嬉しい〜♪”
“寝顔もやっぱカッコイイよねぇ……”
“ずっと彼女作ってないじゃん?あたし告っちゃおっかなぁ♪”
叶チャン……。
やっぱり人気だ。
あたしはその声を無視して、結夢と教室に入った。
誠が居ない教室。
廊下側の1番後ろの席は、知らない男子が座っていた。
誠の特等席だったのにな。
それに……。
ねぇ、こんな気持ち、どーすればイイのかな。
机に伏して寝ている叶チャンを見て、ドキドキしてる。
誠の居ない教室に寂しさを覚える。
これからは休み時間は、絶対誠に会いに行こう。
うん、そーしよう。