誠は高校からの友達で、初めて席が隣になった男の子。
髪なんて入学初日から金に近い茶色で、整った……てのよりは少年的な可愛い顔をしていたから目立っていた。
学校が始まってすぐ、誠の破天荒で人懐っこい性格は注目を集めた。
先週なんて、授業サボってると思ったら学校の近くの川で蟹を取ってたらしく、教室に大漁の蟹を持って来て見せびらかしていたところ、蟹が逃げ出して教室中は蟹だらけで。
みんながパニックになってる中、誠は何がそんなに嬉しいのか、満面の笑みで蟹を追い掛けていた。
男子からは『殿』と呼ばれ、女子も誠を狙ってる子が何人かいるみたいで、男女共になぜか慕われている。
顔も少年だけど、心はもっと少年らしい。
でもあたしは、誠の笑顔が好きだった。
それはきっと、笑った時の叶チャンに似ているから……
“ブーッブーッブーッ”
スカートのポケットに入れていた携帯が震えた。
叶チャン!?
淡い期待に顔がほころんだ。
でもそれはすぐに、落胆に変わる。
「誠……」
はぁ……
と、あからさまに大きな溜め息をついて、受信BOXを開く。