「な〜に悩んでんの♪」



とそこに、この雰囲気に全く似つかわしくないおちゃらけた声。



「のんチャ〜ン」


そしてあろう事かその声の主は、あたしの頬っぺをプニプニと人差し指でつつく。


「誠、セクハラ」


あたしなりに精一杯の冷めた目で睨んでやったけど、そいつは気にせず。




「何言ってんだよ俺たちの仲だろ♪」


気にするどころか、頬っぺをつついていた指は親指も増え、摘ままれる。




「……いひゃい」


「ぷッ…アホ面」


ペチンッと指を離し、頬っぺをさするあたしを見てニヤニヤする誠。




てかあんたがアホ面にさせたんでしょーが!!



なんて怒る気力もなく、あたしはまた溜め息をついて机に突っ伏した。



「誠、今はそっとしといてあげてね」


見兼ねた結夢は、誠に優しくそう言った。


誠は

「ふ〜ん。そ」

と言って、教室を出て行った。


「結夢、ありがとね」

結夢はいつもの毒舌を封印して、心配そうに微笑んでくれた。


「アイツ、ホントに空気読めないってか、バカなのかなぁ」


「まぁ、アイツはアイツなりにのんを心配してたんでしょ」