あたしが無言で俯いていると、誠は話し出した。



「俺、人を好きになるとかよく分かんなくて、告られたら片っ端から付き合ってた。
正直、そーやって告白とかできるくらい好きな奴がいる事が羨ましくて、俺も、付き合ったら相手を好きになれんのかなとか思ってた。でも付き合ったって好きになんてなれなくてさ」


あたしに取って誠は初めて付き合った人。

でも誠はそうじゃない。


あたしはずっと叶チャンが好きだった。

でも誠は、好きって気持ちを知らなかった。



なんか、そんなあたし達が付き合ってるって、ちょっとスゴイかもね。




無言のあたしに、誠は続ける。


「俺、何にでも無気力で……ただ目の前の楽しい事だけ求めてて。今が楽しければ、それでイイって思ってた。
その時は気付かなかったんだ。自分の下らない過去の行動で、いつか本気で好きになった人を傷付ける事になるなんて」


誠は、馬鹿だよな。って呟いて、悲しそうに笑った。



「スゲー悔しい。気付くの遅すぎた。今あの頃に戻れんなら、思いっ切り俺を殴ってやりてえ」