男はそーゆうもんだって、思わなきゃ……。



でもあたしとも、そんな軽い気持ちでしたのかな。








気付かないうちに、自然と涙が溢れた。



でも勝ち誇ったように笑う美姫の前で、泣きたくなんかないから。




あたしは鞄に宿題を詰めて、逃げるようにして誠の家を出た。


途中で誠があたしを呼ぶ声が聞こえたけど、振り返らない。




全力で家に向かって走った。










「のんッ!!」


後ろから腕を思いきり掴まれたけど、振り返れない。


二人の激しい呼吸の音が重なる。


「のんッ……、どーしたんだよ」


「……ヤダ。も、ヤダッ」

掴まれた腕を大きく振りほどき、あたしはまた逃げるように走り出そうとした。


でも後ろから抱きしめられて、阻止される。



「俺、何かした?美姫に、何か言われた?」


不安そうに震える声が、耳元で聞こえた。


あたしを抱きしめる腕は、家で宿題をしていた時と同じ格好で、ジャケットを着ていない事が分かった。




でも、そんなの……。


「離して……」



そんなのどーだってイイ。