「はぁ……」
昼休み。
あたしは今日何度目か分からない溜め息をついた。
昼休みになっても叶チャンからのメールの返事はなく、携帯片手に机に突っ伏した。
そんなあたしの目の前で、美味しそうに焼きそばパンを頬張る結夢。
「のんさぁ、そんなに気になるんだったら、今から謝りに行けばイイじゃん」
「……できないよ」
鳴らない携帯電話の画面をぼんやり見ながら、あたしは呟いた。
あたしだって、できる事なら今すぐ謝りに行って、
「付き合ってなんて冗談だよ♪」
って無かった事にしたい。
でもメールの返事もこないし、ウザいって言われた。
会いに行ったってウザがられるだけ。
「あたしさ、何回フラれても頑張るつもりだったんだ。叶チャンの事諦めるなんて絶対できないし。でも、それが叶チャンにとって迷惑な事なら……あたしはもう諦めるしかないよね。好きな人に迷惑掛けちゃいけないよね……」
今日半日、一度も閉じなかった携帯電話を畳んで制服にしまった。
「………難しいよね」
「……うん」
あたし達はそれぞれの方を向いて、無言になった。