「俺、中学ん時とは違うし。サボったりなんかしねーよ」
「嘘だぁ。あたしを悪の道に引き入れたのはマコじゃない。真面目なマコなんて想像できないわよ」
――そーだったんだ。
じゃあ、いつも美姫と遊んでたんだね……。
「俺は変わったんだよ」
「そんな簡単に変わるわけないじゃない。あたしが注意しても無視してたし」
「変わったよ」
あたしは美姫の言葉を遮るように言った。
そして宿題に目を落としながら、何でもない事の様に続ける。
「誠、今はサボったりしてない。毎朝迎えに来てくれてるし」
中学の時とは違うんだから。
あたしと付き合って変わったんだから。
美姫じゃ変えられなかった誠を、あたしは変えたんだから。
そんな気持ちが自然にこもって、言葉に出た。
「のんの言う通りだ」
誠はあたしの真意なんて知らずに、あたしが言った言葉に頷く。
「へぇ〜。ま、信じられないけどぉ。そんな事よりマコ、飲み物持って来てよ」
美姫は無表情であたしの顔を一瞥した後、誠の背中を押して言った。