――ガチャッ!
「マコ〜♪ッて、あれ、のぞみサンも居たんだ」
唇に熱を感じる前に、背後からそんな声がした。
――美姫。
あたしは大きく後ずさって誠から距離を置き、誠は大きく溜め息を吐いた。
「ねぇマコ〜、勉強教えてよぉ」
美姫はあたしの存在なんて無視して、誠に擦り寄る。
「お前出てけよ」
「イイじゃん、せっかく勉強する気になってるんだから」
そう言って膨れた美姫は、文句なしに可愛かった。
でも誠の反応を見ても、顔を赤らめるでもなく、ただただ嫌そうな表情をするだけだった。
「あたしマコと同じ高校行ったら、また中学の時みたいに授業サボって遊んであげる♪」
美姫は屈託なく笑った。
――え……
そーいえば誠は、中学の時は遊んでばっかで、学校での思い出がないって言ってた。
一緒に遊んでたのって、美姫だったのか……。
美姫との思い出は、いっぱいあるのかな……。
胸が痛んだ。