ハンバーグが、歪んで見える。


視界がぼやける。


あたし、目はイイ方なんだけどな……



それが涙の仕業だって分かったのは、ハンバーグに涙が落ちる前に、叶チャンがあたしの頭を撫でようと腕を伸ばして……



引っ込めたから。



あたしが泣くと、いつも頭をポンポンってしてくれてた、叶チャンの癖。



もう、してくれないんだね……


それが一番、悲しかった。




「……帰るね」


踵を返して、あたしは走って叶チャンの家を出た。





ずっと……


ずっと迷惑だって思われてたのかな。


ウザいって、ずっと思われてたのかな。


楽しいのは、あたしだけだったのかな。


甘え過ぎてたのかな。


自己中だった……ね。


ごめんね、叶チャンの気持ち考えないで。






その夜、

『今までごめんね』

ってメールを送って寝るつもりだったけど、眠れなかった。





叶チャンからメールの返事は、朝になってもなかった。