それから程なくして誠が来て、ボーッとしているあたしに声を掛けた。
あたしが振り向くと、そこにはバツの悪そうな顔をした誠と、あたしに睨みをきかせている美姫が居た。
そんなにあたしが嫌いなら来なければイイのに。
なんて思ったけど、美姫はこんな時じゃないと誠と会えないんだろう。
新年早々、愛する彼氏とライバルの顔をセットで見れた事を複雑に思いながら、笑顔で挨拶をした。
「誠、美姫チャン、あけましておめでとう」
柔らかく微笑む誠とは対象的に、挨拶も返さず誠の手を引いて行こうとする美姫。
ねぇ、美姫。
美姫は誠の事、今までいっぱい見れてきたじゃん。
いっぱい二人の時間があったでしょ?
誠が好きなのはあたし。
自信はあるけど、美姫の手を振りほどけない誠に、悔しさを感じた。
ヤダなぁ、あたし。
愛情と一緒に膨らむのは独占欲。
余裕が無くなる。
あたし以外の女の子に優しくしないでよ。
どろどろした感情は、この降り積もる雪みたいに、あたしを埋めていく。