「のぞみチャン、あけましておめでとう」


予想外の声に、あたしは顔を上げた。


叶チャンのお父さん。

「あ、あけましておめでとうございます!」


でもその後ろには、叶チャンが居た。



――ドキッ


心臓が、大きく脈打つ。


叶チャンは俯いて、その表情は分からない。



「のぞみチャンも初詣?これから叶一と行くんだけど、一緒にどう?」



あぁ、おじさん。

それは非常にマズイです。

あたしが夕ご飯作りに行かなくなった訳を察して下さい。


「す、すみません。あたし、待ち合わせしてるので」


「あ、もしかして彼氏かい?のぞみチャンは叶一の嫁になってくれると思ってたんだけどなぁ。なんて冗談ね」



ドッカーーーン!!!


今、あなた地雷踏みましたからぁ!!


あははッ。と引き攣った笑いを浮かべるあたしとは対象的に、爽やかな笑顔で地雷を踏むおじさん。



「親父、早く行こうぜ」


叶チャンは冷たく言うと、車に乗り込んだ。



――あれ?



「叶一も彼女くらい作れよ。じゃあのぞみチャン、またね」


おじさんは爽やかな笑顔をあたしに向けて車に乗り込むと、車は走り去った。