「ねぇ、いつもこんなにドキドキしてるのは、あたしだけなのかな」
誠はいつも堂々としてて、簡単にあたしを好きって言っちゃえる。
あたしはそんな誠の行動に、いつもドキドキしっぱなしなのに……。
「誠は何でいつも、そんなに普通なの?」
何だか悔しくて、あたしは俯いた。
「俺、全然普通じゃないよ。ほら」
「――え」
誠は立ち止まり、あたしを優しく抱き寄せた。
あたしの耳が、ちょうど誠の胸の辺りについた。
そこからは、激しい鼓動が聞こえてきた。
「俺、のんと居る時、いつもこんなだよ」
――ドキドキしてる。
誠の心臓はあたしと同じくらい、いっぱいドキドキしていた。
「こんなにドキドキしてるの、あたしの所為?」
「そ、だから俺が早死にしたら、のんの所為な」
「えー、じゃああたしが早死にしたら、誠の所為だね」
誠の鼓動が、また早くなったのが分かった。
あたしがそれをからかうと、誠は恥ずかしそうにしながら、また繋いだ手をポケットに入れて、歩き出した。