「おじゃましました。ホントに、あの、今日はありがとうございました」
「こちらこそ、またいつでも遊びに来てね」
玄関まで見送りに来てくれた誠の家族に頭を下げた。
誠もあたしを送る為に、玄関で靴を履いている。
「マコ、早く帰って来てね」
美姫は誠ママの隣に立ち、まだ誠の家に居座るつもりでいるらしい。
しかも、誠があたしを送って帰ってくるまで、待ってる気でいる。
美姫に取ってあたしって、何の脅威でもないのね。
ライバルにも思われていない事が、正直悔しい。
でも、彼女はあたしなんだから……。
心の中で宣戦布告をしてみた。
そんなあたしの心を見透かす様に、美姫はあたしを見て、鼻で笑った。
――こいつッ!
あたしと美姫の間には、あたし達にしか見えない火花が散っている。
そんなあたしの頭を冷やす様に、誠が靴を履いて玄関の戸を開けると、冷たい風が入ってきた。
あたしは、玄関まで見送りに出てくれている誠の家族にもう一度頭を下げ、外に出た。