『もしもし?終わった』

「お疲れぇ〜」


結夢とは暗くなるまであの喫茶店で語り合って、8時には家に帰っていた。

それからご飯食べたりお風呂に入ったりしていたら、10時になっていた。



誠は毎日10時にバイトを上がる。

そしていつも、「今終わった」って電話をくれる。


毎日毎日、その電話を待っている。


あたしは電話だけじゃなくて会いたいんだけど、疲れてる誠にそんな事は言えなくて。


だから土日は大嫌い。


土日はバイトに行く前に、少しだけあたしに会いに来てくれる。

でもその二日間はそれしか会えない。



――どんどん欲張りになっていく。

こんなんじゃ全然足りなくて、もっともっと欲しくなる。


でも、我慢……。



『そーいえばさぁ、スゲー言いにくい事があるんだけど……』

誠は珍しく、胸が塞がったような声を出した。

「な、何?」

その声に、あたしも不安になった。

『実はクリスマスなんだけど……』


そう言って、先を中々言わない。




クリスマス、やっぱりバイト入っちゃったのかな……


あたしは凹む気持ちを押さえ、先を促した。