――ウェディングドレス…
昔の記憶が蘇る。
叶チャンに、あたしの夢は何かと問われた、遠い昔。
あたしは、可愛いお嫁さんと答えた。
それは、叶チャンの可愛いお嫁さんって意味だった。
叶チャンは、可愛いお嫁さんと結婚したいと言った。
あれがあたしの事だったのかどうかは、もう知る術はない。
もう知らなくたってイイ。
叶わない夢を、いつまでも見ていてはいけない。
だから知らなくてイイ。
今更知ったところで、何も変わらないから……。
「ウェディングドレス、綺麗……」
あたしがそう言って見惚れていると、結夢もショーウインドーがある方向を向いた。