「恋って不思議……」


あたしはまた呟いた。



昨日の夜までは、触れられる事が怖かった。

誠と帰らない事を寂しい事だなんて思わなかった。

素直になる事が恥ずかしかった。

叶チャン以外に愛しさが溢れる事を知らなかった。



それがたった小さな事で、全て変わってしまった。


いつも当たり前の様に続けていた事が、とても大きかった。


寂しさの反動は大きくて、愛しさの存在を主張した。


『寂しい』と『愛しい』は背中合わせで、しかも『寂しい』って事に気付くのは、結構難しい事だったりする。


「誠が恋しい……」


「何!?ホントにどーしちゃったの!?」

ポツリと呟いた言葉に、結夢は耳聡く反応する。


てか、こんな昼休みの数十分顔を見ないだけでこんなになっちゃぅなんて、かなりの重症らしい。


昼休みはいつも別々でご飯を食べる。

それはお互いの友達も居るし、何より結夢が大勢を嫌うから。


まぁ、結夢と二人だけで話したい事もあるし、昼休みも一緒に居たいって言う誠に、あたしがそれを言い出したんだけどね。