緊張を和らげようと、今度は鞄の中から教科書やらを出し、机に押し込んだ。

そんな事をしていると、田宮クンの席に誠が座った。



てかそこ、結夢の特等席だから!!


ってツッコミを入れようとしたら、誠は頬杖ついてあたしを見つめてくる。


「な、何……?」


この鼻先がくっつきそうな距離と、その優しい視線が恥ずかしくて、手に持った教科書で、自分の目から下を隠した。


「なんか懐かしいな、このシチュエーション」

誠はにこっと笑った。


三ヶ月前、放課後の教室で、今みたいに二人向かい合って委員の仕事をした。

あの時は、誠とこんな風になるなんて思ってもみなかった。


「……うん。あの時は文化祭だったけど、今はもうクリスマスだね」


さっきまでの緊張は少しだけ治まって、あたしもにこっと笑った。


「クリスマスどーしようか。どっか行きたいとこある?」

誠からの思わぬ話に、胸が弾んだ。


「誠、バイト大丈夫なの?休み取れる?」

もしかしたらクリスマスもバイトかもしれないと思っていたから、一緒に過ごす事を当たり前の様に、話を持ち掛けてくれた事が嬉しかった。