これはきっと、誠の魔法。
捻くれだったあたしが、どんどん素直になっていく。
誠は、あたしの全部を受け止めてくれるから。
あたし達は、いつもよりもずっとくっついて歩いた。
それは寒さの所為だったり、人がいない所為だったり。
誠にはそう言っておいた。
そうしたら
「じゃあ明日からもこの時間に来ようかな」
ってニヤけていたけど、ホントは時間なんて関係なくて、あたしが誠を愛しいと、溢れるくらい思っているから。
でもそれは、誠には秘密。
口に出したら、何だか軽くなっちゃいそうだったから。
教室に入ると、案の定誰も居なかった。
エアコンが教室内を暖める音だけがしていた。
思えば、付き合ってから、密室で二人きりになる事ってなかった。
いつも騒がしい教室に、今は二人だけ。
その静けさが、余計に緊張を煽った。
ドキドキを隠す為に、あたしはそそくさと自分の席についた。
てか、何あたしドキドキしてるの!
誠はバカ殿なんだから!
心の中で必死に緊張を抑えようとしても、ドキドキは増すばかりだった。