そこには予想通りの人が、白い息を吐きながら自転車に跨がっていた。 『……よッ』 耳にあてた携帯と、目の前の人から、同じ言葉が発せられた。 「誠、なんで……」 あたしは携帯を耳から離し、誠の方へと歩いてく。 それにならい、誠も自転車を下りる。 「会いたかったから」 屈託無く笑う誠に、愛しさが込み上げた。 会いたかったからって、こんな寒い中自転車で来るなんて。 明日、また朝会えるのに。