「教室暑いだろー。だからここで涼んでんの。廊下って冷たくて気持ちイイよ」
そう言って、誠はまた廊下に頬を付ける。
こいつら、バカだ。
バカ過ぎる。
しかも宮下クンまで。
バカ殿が二人になった事と、元祖バカ殿が自分の彼氏だって事に、頭が痛くなった。
あたしはその二人を『バカ殿ーず☆』と心の中で名付けた。
あたしはバカ殿ーず☆を無視し、トイレへ向かおうと歩みを進めた。
するといきなり背後から凄いスピードで足音が近付いてくる。
「のんッ!おまえッ」
その足音はあたしの愛すべき彼氏、元祖バカ殿、バカ殿ーず☆の片割れ、誠様であらせられました。
「な、何ッ、大声で呼ばないでよ」
「スカート短すぎだから!」
「はッ?」
訳も分からず、あたしは茫然とする。
そんなあたしに誠は痺れを切らせたのか、怖い顔をした。
「スカート何回折ってんの」
「一回……だけど」
あたしの言葉を最後まで聞かず、誠はあたしの腰回りに手を入れた。
その瞬間、あたしの体が震え、悪寒が走った。