「送ってくれてありがとう」

昨日のように、あたしの家の前で向かい合う。

「毎日送らせてね」

そう言って誠は微笑み、あたしを抱きしめた。


誠の腕に包まれて、あたしは誠の鼓動を聞いた。



ドキドキしてる。


あたしと同じくらい、誠の心臓も激しく動いていた。


あたしの背中に回された腕が、あたしの肩に移動した。

そして自然に、見つめ合う。


「俺さ、霧島に嫉妬してるんだ。のんはまだ、アイツの事好きなんだろうなって思うし、まだ俺は負けてると思う」

「そんな事ッ……」



ないって言えなかった。


図星だ……。


そんなあたしを見て、誠は眉を歪ませながらも微笑む。

その顔は凄く寂しそうで。



「イイんだ。分かってるし。霧島との15年は、簡単には消えないでしょ。でも俺はまだまだ時間があるし、15年待ってもイイと思ってたから」

「……誠」


あたしは今、どんな顔をしてるのかな。

何て言えばイイのかな。

分からない。

分からないけど、きっと今、目をそらしちゃいけない。