私と春希は、結局同じような不安を抱えていて、お互い相手を信じながらも、どこかで気を遣い合っていたんだと思う。
あの日、気持ちをぶつけ合ったおかげで、私と春希はまた平穏な毎日を取り戻して……。
もうお金もだいぶ貯まったからと、お互いバイトも辞めて、またずっと一緒の毎日を過ごし始めた。
「あんた達、毎日そんなにペターってしてて、飽きない? 嫌にならない?」
仕事が平日休みのマコが、久しぶりに大学まで遊びに来て、一緒にご飯を食べる私達に、呆れたような視線を向ける。
「うーん、どうなんだろ」
「“飽きる”とか考えてもみなかったな」
「うん。そもそも、飽きる飽きないじゃなくない?」
「そうそう。よくわからん、その椎名の感覚」
“うんうん”と頷きながら言葉を交わす私達を見て、盛大な溜め息を漏らしたマコは、
「このバカップルが……」
ボソッと、失礼すぎる暴言を吐いた。
「バカップルではないと思うけど。人前でイチャイチャしないし」
「いやいやいやいやっ!! 十分してるからね!? この時点でもう“イチャイチャ”だから!!」
……ふーん。
よくわからず、首を傾げながら春希に視線を送ると、春希も同じように首を傾げていて、思わず笑ってしまった。
人から見たら“イチャイチャ”と捉えられてしまうくらい、私達はいつも自然体でいた。
もちろん二人でいる時は、もう少しだけ甘い時間もあるけれど……。
「でも、よかったよ」
そう言って、安心したように私を見て笑うマコは、いつも私の相談に乗ってくれていて、仕事で神経を使っているのにも関わらず、ずっと心配をしてくれていたんだ。
本当に、マコには感謝してもしきれない。
悩みの種だった“しーチャン”はというと、春希がバイトを辞めた事を知るや否や、自分もさっさと辞めてしまったらしい。