「みんな…ありがとぉ」


凉菜もそれを見たのか、お礼の言葉と共にみんなを見つめた。途端に女子は泣き出し、男子にも鼻をすする奴がいた。


凉菜はみんなにとって、こんなにも大切な存在だったんだ。


その日の授業で、思いが詰まった黒板が消されることはなかった。先生達も気を遣ってくれたみたいだ。


「大宮、ちゃんと勉強しろよ!」


「英語もアイラブユースケ以外にも学ぶようにな」


冷やかしを含めて、凉菜へエールを送る先生もいた。その時ばかりは俺まで照れ臭かった。


だけど、クラスメートと笑みを交わす眩しい凉菜をしっかりと目に焼き付けた。


俺だけが気づいた、朝の瞳の潤みを忘れさせるような笑顔も何もかも全て。


放課後には担任の案で、クラスの集合写真も撮った。そして俺は、那都の推しで凉菜の隣をゲットすることができたわけだった。