そう言えば、と思い出す。


前に一度。
あれは、赴任してしばらく経ち、ようやく今の生活に慣れ始めた頃だった。

そう、カラッと晴れた初夏だった。



初めての授業で電撃的なあいさつをした佐藤は、毎時間、授業を寝て過ごしていた。

あの時も今と変わらず、堂々たる態度で。

そんな佐藤を、当たり前だが、あの頃から俺は毎時間、起こしていた。



「佐藤、授業を睡眠時間に当てないでください」

「…ん~……、」

「佐藤、ほら、起きなさい」

「…ん~~…」