「本当に今日は、何なんだよ…」

来たときと同じ信号機は俺でちょうど赤に変わり、行く手を阻んだ。



『そう言えば準備室には灰皿があったし、私を背負った背中からも少しだけ臭いましたよ?』

正直、あの時は驚いた。

まさか、佐藤が俺のそんなとこまで見ていたなんて思わなかったから。

柄にもなく、頬が緩んでしまったのはただ単に、嬉しかったからだ。



きっと、俺に何かと敵対心を抱いている佐藤のことだから、あわよくば弱みを握ってやろうとでも考えていたのかも知れないが。