“恭ちゃん”と呼ばれた間宮先生は、呼んだ女子を呆れたような、気だるいような顔で振り向いた。
「そこ。“恭ちゃん”呼ばない。」
「きゃぁーっ!」
おい、何が『きゃぁーっ!』だよ。と私も言いたくなる、矯声にも似た歓声だった。
なぜ“恭ちゃん”なのかと言えば理由は簡単で、先生の名前が“間宮 恭佑”だからだ。
そして。
なぜ歓声が起きたのかと言えば理由は簡単で、ただでさえ垂れ流し状態のだった先生の、
いわゆる“色気”が憂いを帯びたせいで決壊したダムのごとくになったからだ。
(私は全く“色気”なんて分からないが。)