それに。

さっきは“恭佑先生”だったのに今は“恭くん”って呼んだ。

もしかしたら、何か関係があるのだろうか。



「覚えてないです。」


早くこの人との話を終わらせたいとも思うけど、疑問がそれに勝った。

正直に答えたのに、永瀬先生は声をたてて柔らかく笑った。



「あはは、そっかそっか。

美桜ちゃん、熱があったのよ。
それに気づいた恭佑先生があなたをここまで運んだの。

あの慌てようは笑っちゃった」


そう言われれば確かに、記憶を失う前、最後に聞いたのは間宮先生の声だった。