何となく薬品の臭いがする。

ここは、もしかして…。


「あらー、起きたぁ?」


シャッとカーテンから顔を覗かせたのは、やっぱりと言うべきだろう。

保健の永瀬先生だった。


「…保健室…か。」

「うん?」

「いえ、なんでも。」



常に笑顔でふわふわしている先生に、寝たまま返事をした。



永瀬 海里(ながせ かいり)先生。


すらっとしていて姿勢がいい。

軽く巻いてある髪は長いし、少しタレた目は“女の子”って感じなのに、しゃべり方は頼りになりそうなお姉さんみたいな先生だ。

誰かが、24歳だと言っていたっけ。