はぁー、と溜め息を吐いた先生からは、今日の授業の時と同じイチゴの匂いがした。


「仕方がないな、」

と先生は、白衣の右のポケットに手を突っ込んだ。


「ほら。」

そして、私の手に置かれたのは。


「…アメ?」

イチゴ柄の可愛い包装紙でくるまれたそれは、確実に、私が返してほしいピアスではない。


「そう。
俺の好きなイチゴ味。」


先生は、甘い物がたべれるのかとか、イチゴの匂いはこれかと、弱味を握った気になったが、今は後回し。


「先生、からかわないでください!ピアス、早く返して!」