わざと教室の照明を点けてやれば、驚いたようにこちらを振り返った。


「……最低ですね、」

「施錠時間ですから。」


佐藤のその気にくわなそうな顔に、フッと笑いが溢れた。

すると佐藤は、拗ねたようにまた窓の外に目をやる。

もしくは、俺との会話を避けるためか。


しかし俺は、佐藤の左側に立つと、会話を進めた。

「なにを見ているんですか」


彼女の横顔は、妙に悲しげで、胸がざわつく。
そんな俺の気持ちなんて知らずに、佐藤はまっすぐ空を見上げた。


「……赤が、黒に隠されて…」

「……?」