「……っ…」


ポタポタと佐藤のきれいな目から、とうとう涙が零れた。

必死に睨んでくる怒りの眼差しと、そこからくる涙。

俺の胸をきつく締め付ける。


「……佐藤…、」
「先生、私、…帰ります」


そんな佐藤から目を逸らしたくて、抱きしめてしまいたいと思う。

しかし、また佐藤の頭に手を伸ばそうとすると、佐藤にソファーから立って背を向けられた。


そして振り返りもせずに、そのまま無言で準備室の扉を開け、パタン、と閉まる音もする前に佐藤はこの場から去って行った。