バカだな、俺。
なにやってんだ、俺。



本当は、そんな目をしてほしかったんじゃない。
ただ、俺だけに笑いかけてほしかっただけなのに。

佐藤によって付けられた唇の傷は、俺の胸までヒリヒリと痛ませて、俺に現実を押し付ける。



なのに、やっぱりどこか本当の裏の裏では、今の状況にすら悦びを感じている自分もいるのも確かだ。

佐藤の乱れた息づかいは、俺がそこまで追いつめたんだと思うと、俺の気分を良くする。



仕方がない自分自身に、もはや呆れの笑いが溢れた。