スッと離れた先生の、右手の親指と人差し指の間に。

控えめに輝く、紅い小さな石のそれはあった。


「…ちょっ――…」

「ピアスは、校則違反ですから」


知ってる。

そんなこと、知ってるに決まってる。

だから、私は今まで長い黒髪に隠して、バレないように付けて来たのに。


彼にすら。

未だに付けていることをバレないように、ひっそりと。



なのに、なんで、どうして。

間宮先生には、バレてしまったんだろうか。



敵意をむき出しで睨み付けると、先生はそれすらフッと涼しげに笑った。